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RSMブログ:疼痛・姿勢改善とバイオメカニクス

9 Nov 2025

バランスボールトレーニングで体軸と重心を同期させる

骨盤の章動、カウンター章動、重心の関係

骨盤の章動、カウンター章動、重心の関係

人体は、独立した筋の集合体ではなく、筋膜・筋脈・筋肉が連続的に機能する統合構造(Integrated Myofascial System)として働いている。横隔膜・大腰筋・腰方形筋などの深層筋群は、胸郭から骨盤、さらに下肢までを連鎖的に結び、その筋膜ネットワークを通じて張力と運動情報を全身へと伝達する。この連結構造こそが、姿勢安定と動作効率を支える動的制御基盤である。

RSM International Academyでは、この構造を神経筋制御の観点から再統合し、体軸(Body Axis)と重心(Center of Gravity:COG)の同期化を目的とした再教育を行っている。腹腔内圧(Intra-abdominal Pressure)の調整と、横隔膜・骨盤底筋・多裂筋の**動的シナジー(Functional Synergy)**を活性化させることで、内圧・呼吸・姿勢制御を統合し、静的安定から動的安定へとスムーズに移行できる神経筋パターンを再構築する。

バランスボール/Bosu バランスボールを使用した不安定な支持基底面でのトレーニングは、筋膜連結を刺激しながら姿勢反射と固有感覚を再活性化させ、重心変化への即応性を高める。その結果、**力の伝達経路(Force Transmission Pathway)**が最適化され、全身の運動連鎖が効率的に機能する。この過程は単なる筋力トレーニングではなく、**神経筋リプログラミング(Neuromuscular Reprogramming)**であり、身体を「支える」から「制御する」へと導くプロセスである。

また、静止時ではなく、**静から動、動から静へ移る“過渡期(Transition)”**にこそ、身体の真のアライメントが顕在化する。この瞬間における神経・筋膜・運動連鎖の統合こそが、姿勢・動作・パフォーマンスの質を決定づける。正確なアライメント下で体軸と重心を同期させることにより、身体は「機能と構造が一致した運動体」として再構築される。

この一連のプロセスを通して、疼痛や歪みは自然に減少し、神経と筋の協調性が整うことで、姿勢・動作・運動効率が高次に統合されていく。

これこそが、RSMが提唱する**動的神経筋統合理論(Dynamic Neuromyofascial Integration)**の核心である。
 RSMでは、Dynamic Postural Assessment & KInetic Chain Training Courseで姿勢分析や姿勢改善トレーニングを教えている。

- Hironori Ikeda, MSc Sports Medicine
Neurodynamics & Sports Biomechanics Specialist

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参考文献:

1) Willardson, J.M. (2007). Core stability training: applications to sports conditioning programs. Journal of Strength and Conditioning Research, 21(3), 979–985.
2) Panjabi, M.M. (1992). The stabilizing system of the spine. Part I: Function, dysfunction, adaptation, and enhancement. Journal of Spinal Disorders, 5(4), 383–389.

9 Nov 2025

不安定な支持基底面で運動連鎖トレーニングと姿勢改善

バランスディスクを用いた動的姿勢評価

バランスディスクを用いた動的姿勢評価

スポーツ医学におけるパフォーマンストレーニングでは、バランスディスクやボスボールなどの**不安定支持基底面(Unstable Support Surface)を利用した神経筋制御トレーニングが不可欠である。これらのツールは、上肢・体幹・下肢の運動連鎖に対して多方向からの感覚刺激を与え、姿勢制御システムに動的な再適応を促す。不安定環境下での姿勢保持は、身体のアライメント維持能力と重心制御(Center of Gravity Control)**を同時に再構築し、随意運動および反射運動の精度を高める神経筋的再教育(Neuromuscular Re-Education)として機能する。


RSM International Academyでは、この理論を**動的姿勢評価(Dynamic Postural Assessment)と統合的に位置づけ、臨床およびアスレティックリハビリテーションの両領域で応用している。特に、上昇運動と下降運動の協調性(Ascending-Descending Coordination)**を重視し、筋膜連結を介した全身のバランス制御と運動出力の最適化を図る。この一連の運動連鎖は、**準備姿勢調整(Postural Anticipatory Pattern:PAP)**として表出し、姿勢反射、深部感覚、固有受容器の再統合を通じて動作の安定性を高める。


また、不安定基底面下でのトレーニングは、単なる筋力強化ではなく、**神経筋統合理論(Neuro-Myofascial Integration)**に基づく制御再構築である。バランスディスク上での微細な重心移動は、脳幹・小脳・脊髄反射系を介した姿勢制御ループを活性化させ、**運動学的精度(Kinematic Precision)と安定性(Stability)**の両立を可能にする。その結果、アスリートおよび臨床対象者において、疼痛軽減、関節可動性向上、姿勢再教育、運動パフォーマンス改善が確認される。

本トレーニングの目的は、外的環境の変化に即応できる身体の統合的制御能力を再構築することであり、静的安定から動的制御へ、制御から最適化へというRSMメソッドの中核原理を体現している。

- Hironori Ikeda, MSc Sports Medicine
Neurodynamics & Sports Biomechanics Specialist

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参考文献:

1) Behm, D.G., & Colado, J.C. (2012). The effectiveness of resistance training using unstable surfaces and devices for rehabilitation. Journal of Strength and Conditioning Research, 26(3), 716–726.
2) Zazulak, B.T., Hewett, T.E., Reeves, N.P., Goldberg, B., & Cholewicki, J. (2007). Deficits in neuromuscular control of the trunk predict knee injury risk. American Journal of Sports Medicine, 35(7), 1123–1130.

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